LangHeaven 版 (精华区)

发信人: dongjing (E-J), 信区: LangHeaven
标  题: 日本语文章欣赏1(转载)
发信站: 哈工大紫丁香 (2004年04月01日20:44:47 星期四), 站内信件

【 以下文字转载自 Chinese 讨论区 】
【 原文由 dongjing 所发表 】
 
伝統と進取


 


九鬼周造



 ひたすらに伝統の匂いをかいで足れりとする者であるかのような非難を私は近頃うけ
た。これは馬鹿げた非難だと一口でいってしまえばそれまでのことであるが、また考え
ようによってはいい機会でもあるから、果してこの非難が当っているかどうかを、私は
出来るだけ客観的に自分について調べてみたいと思う。
 この非難は二つの事項を含んでいる。ひたすら伝統の匂いをかぐというのが一つであ
り、それだけで足れりとするというのがもう一つである。まず第二の点から考察してい
こう。私が伝統の固守をもって足れりとする者でないことは私自身にはあまりにも明白
なことである。私は西洋文化からも大いに学ぶべきところのあることを堅く信じている
者で、私の生活の一半は西洋文化の学習に捧げているようなものである。故国の文化は
ますます肥っていかなければならない。そのためには外国の新しいものの長を採ってい
かなければならない。このことはあまりに解りきった平凡なことで今日となってはこと
さら主張するのも可笑しいほどである。単に学術や技術の上のみならず芸術や道徳の領
域にあっても色々と西洋から学ぶべきところのあることを私は深く信じている。日本人
がともすれば自惚れがちで世界のどこに比してもすべての点で遜色(そんしょく)ない
もののように考えるのは甚だ間違っていると私は思う。我々は色々の点で新規なものを
取入れて進んでゆかなければならない。私は伝統の固守をもって足れりとする者では決
してない。
 次に第一に挙げた点、すなわち私がひたすら伝統の匂いをかぐということはどうであ
るか。この点は私は全面的に是認するものである。私が『「いき」の構造』を書いた頃
はマルクス主義全盛の頃で、私は四面楚歌の感があった。数年経って「外来語所感」を
発表したこのごろは、外囲の事情が全く反対になってしまって、ある読者には私が現時
流行の日本主義に阿諛諛苟合(あゆこうごう)するかのような感を与えたかも知れない
。『「いき」の構造』から「外来語所感」に至るまで私にあっては同一の信念の同一の
流れである。変化したのは外囲の事情である。
 私はひたすら伝統の匂いをかぐ者である。しかし伝統への私の愛着は「匂いをかぐ」
というようなほのかなものでは決してないことも事実である。

 


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※ 来源:.哈工大紫丁香 bbs.hit.edu.cn [FROM: 210.46.71.10]
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